ウィークリーレポート 2023年4月21日

週間展望・回顧(ポンド、加ドル)

April 21, 2023

ポンド、利上げ期待が支え

◆対円、植田日銀総裁の初めての日銀会合に注目

◆ポンド、英賃金・CPI を受けた利上げ期待の高まりが支え

◆加ドル、1 年 7 カ月ぶりの低水準となった CPI が重し

予想レンジ

ポンド円 164.50-170.00 円

加ドル円 98.00-101.50 円

4 月 24 日週の展望

来週、対円では日銀の金融政策決定会合に注目。植田日銀新総裁が当面は金融緩和の継続で物 価目標の達成に近づいていく方針や共同声明について「直ちに見直す必要はない」との見解を示 し、来週の会合で金融政策の変更はないとの見方が強いものの、今週も関係者の話として「日銀 が来週の会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を修正することへ慎重な 意見が広がっている」と伝わると円売りに反応したように、植田日銀総裁ら新正副総裁が初めて 参加する会合に市場の注目度は高く、サプライズがなくても円相場が動意づく可能性はある。

来週、英国内では目立った経済指標の発表予定はなく、イングランド銀行(英中銀、BOE)関係 者らの発言などに注目している。今週の英経済指標の結果を受けて、市場では BOE の利上げ継続 への期待感が高まり、ポンドの下支えとなりそうだ。金融政策委員会(MPC)は「賃金とインフレ の伸びがいずれも減速する」と予想していたが、12-2 月の週平均賃金は前年比+5.9%と市場予想 を大きく上回り、3 月消費者物価指数(CPI)も前年比+10.1%と 2 ケタ水準を維持した。MPC は「イ ンフレ圧力が収束すれば利上げ停止もあり得る」と示唆していたが、最近の経済データは市場や BOE が考えていたほどインフレは制御されていない可能性を示唆。BOE には、利上げ停止を決める のはまだ早いとのメッセージを送っている。市場では 5 月会合で 0.25%の利上げが確実視され、 6 月会合でも追加利上げに踏み切るとの観測が浮上。政策金利ピークの見通しは 5.0%に上昇して いる。利上げサイクルがまだ続くとの見方に傾いており、ポンドの底堅い動きが予想される。

また、加ドルは 3 月 CPI の伸びが予想以上に減速し、上値の重い動きが見込まれる。3 月 CPI は前年比+4.3%と 1 年 7 カ月ぶりの低い伸びとなった。カナダ中銀(BOC)が重視するコア CPI も +4.5%と 2 月の+4.9%を下回った。マックレム BOC 総裁は、「堅調な需要の持続と労働市場の引き 締まりによるサービス価格の上昇圧力の緩和はこれからも鈍い」との見解を示し、インフレ高へ の警戒感を緩めていないものの、足もとで CPI は BOC の「年央まで 3%前後まで減速」との見通 しに沿った動きとなっている。市場では、当面政策金利を据え置き、年後半には利下げに動くと の見方が強まっている。

来週、加国内では 2 月 GDP の発表が予定されているが、結果が加ドルの大幅な動きにつながる 可能性は低い。加ドルは日米金融政策の思惑に絡んだ円やドルの動きに左右されそうだが、産油 国通貨として上昇が一段落している原油相場の動きにも注目。

4 月 17 日週の回顧

全般ドル買い・円売りが優勢となるなか、ポンドは予想を上回る賃金・インフレデータを支え に底堅い動き。ポンドドルは 1.23 ドル半ばで下げ渋った後 1.24 ドル後半に切り返した。ポンド 円は一時 168 円手前まで年初来高値を更新した。加ドルは予想比下振れの 3 月 CPI が重しとなり、 ドル/加ドルは 1.34 加ドル後半まで加ドル安となった。加ドル円は 100 円半ばで伸び悩んだ。(了)